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■ 車両(塗装)

 バス車両の塗装は、伝統の「菊水色」を主流として、2005年4月現在で9種ある。(ボディ広告のための「ラッピングバス」は除く)
 なお、各種塗装について、公式の呼び方が示されていないものが多いため、筆者は一般化に際して独自の塗装名を付けている。事実と異なるものがあることを、予め了承願いたい。

● 現在の塗装

◆ 菊水色(旧来)

「菊水色」の元祖と言えるボンネットバス 神戸市バスが「菊水色」を最初にまとったのは、1953(昭和28)年製観光車の「くすのき」で、それ以後に導入した車両には採用しているようである。当時は「さまざまなデザインを施していた観光車の統一を図る」ことを目的とし、やがては路線車にも採用されていった。神戸市街の清潔感を表す白と背後にそびえる六甲山系の緑を用いて、前面・後面には神戸市章のアレンジ、側面には楠木正成の旗印にちなんで水の流れのデザインを施している。この頃の「菊水色」には、側面後部に「つ」の字形の模様があるほか、ボンネットバスの場合は前面の「市章のアレンジ」が施されていない。(前述の「くすのき」など、車両によっては施されているようである)

◆ 菊水色(現在)

現在の「菊水色」 現在の神戸市バスでは、側面後部に「つ」の字形の模様がなくなっている。正確な時期は分からないが、資料で見る限り、昭和40年代頃からのようである。
 これで車両の塗装は一通りの完成を見たようで、以後、61系統の「警戒色(現在は消滅)」、リフト付バスの「幸せ色(通称「あじさい色」、現在は消滅)」、ノンステップバスの「ノンステップ色」へと、環境や時代と共に派生しながら受け継がれていった。

◆ ノンステップ色

菊水色の伝統を引継ぎながら黄緑になった「ノンステップ色」 1998年度、中央営業所と垂水営業所に、神戸市バスとして初のノンステップバスが投入された。車椅子乗車用のスロープや車椅子固定場所を設けている結果、ノンステップバスは一般車両と区別する意味で、これまで緑色だった菊水色を黄緑色で採用した。車体の側面・後面には「ノンステップバス」「NON STEP BUS」の、表記が加えられたほか、前面の交通局章は「愛の輪運動」のロゴマークに変更、このロゴは右側面の運転席窓下にも描かれている。

◆ 流星色

星の流れる神戸北町の「流星色」 伝統の菊水色を大きく離れた塗装で登場したのが、2000年度投入の長尺車で、5台が中央営業所で就業している。
 流星をイメージした塗装は、海・空・さわやかな空気を象徴する水色地で表現、神戸北町の「星降る街」のイメージにシャトルバスの快適さとスピード感をかぶせ、白い箒の付いた黄色と橙色の流れ星を配している。
 特殊塗装は1993年度の「赤バス色」以来で、神戸市バスでは珍しい長尺と共に注目を集めた。2004年度に投入された長尺のワンステップバスは菊水色が採用され、流星色も希少種のひとつになっている。

◆ 東灘区色

東灘区を表現した「東灘区色」 上がクリーム地、下が水色地のツートンカラーで、車体には東灘区内の特徴的なイラストをステッカーにして貼付けている。前面・後面には、東灘区の花・梅と東灘区の鳥・鶯を、左側面にはだんじりと住吉川の向こうにそびえる白鶴美術館を、右側面にはだんじりと酒蔵・酒樽を、地域に密着したデザインが車体を彩る。
 2001年度に「東灘区南北路線」として開業した37系統専用で投入、3台が仕業に就いている。

◆ 灘区色

車体いっぱいに灘区を詰め込んだ「灘区色」 車体いっぱいに灘区を詰め込んだ「灘区色」は、2000年度に投入されたエアロミディ・小型ワンステップバス4台に採用され、石屋川営業所で灘区南北路線(102系統・103系統)で従事する。
 車体は上から白色・薄い水色・濃い水色・青色・白色・橙色の帯が入り、その上に灘区を表現したイラストが施されている。灘区の花・マリーゴールドを前面・側面の随所に配し、左側面に王子市民ギャラリー(旧関西学院大学チャペル)、左側面と後面に王子動物園とその動物、後面に六甲の山並みと桜、右側面に六甲山牧場・摩耶ビューライン(摩耶ケーブル・摩耶ロープウェーの愛称)・酒蔵を描いている。
 このうち、摩耶ビューラインのイラストは、2001年3月までは六甲ケーブルのイラストだった。これは、摩耶ケーブル・摩耶ロープウェーが阪神大震災で被災、これらを保有していた六甲摩耶鉄道が自主再建を断念し、神戸市都市整備公社に譲渡して運行を再開したのに合わせたもの。

◆ ふきあい色

あまた伝わる民話をかわいいイラストであしらった「ふきあい色」 101系統用として2001年度に投入された、中央営業所のエアロミディ・中型ノンステップバス3台に採用している。「ノンステップ色」の亜種とも言うべき塗装で、前面は他のノンステップバスと同様、中央区の花・ペチュニアのステッカーが貼られている点が異なる。側面には101系統が走る葺合(ふきあい)地区の民話を基にした登場人物などのかわいいイラストステッカーを貼付けている。後面には「ノンステップバス」の表記とペチュニアのステッカーが施されている。

◆ 西区色

コミュニティペイントバスの元祖「西区色」 2000年年度、32系統以来の神戸市バスのコミュニティバスとして登場したのが、西神営業所投入の日野リエッセ2台。12系統のうち、上岩岡〜西神中央駅前間の運転系統で就業していたものの、12系統の路線移譲によって、2005年度から魚崎営業所・石屋川営業所へ1台ずつ転配された。転配後も、2005年4月現在塗装に変更はない。
 白地の車体に、西区の花・なでしこ、農業公園(ワイン城)、ぶどう、男の子を連れたおじいさん、犬を連れた女の子、のイラストステッカーを貼付けている。
 「おだやかで温かみのある絵柄」が、見る人・乗る人の気持ちが優しくすることを願っているという。

● 消滅した塗装

◆ 警戒色

緑の中でもひときわ目立つ菊水色の亜種・「警戒色」 菊水色の亜種「警戒色」は、61系統(神戸駅南口〜鈴蘭台)に就業する須磨営業所(当時)の車両に施されていた。
 塗装自体は菊水色であるが、前面の「神戸市章のアレンジ」部分の白色が橙色に塗られ、前バンパーのコーナー部分も橙色を採用している。
 「六甲山系の緑」を表現した菊水色は周囲の緑に車体が紛れて目立たず、隘路を縫って走らなければならないこの路線では、対向車からの認知の遅れによる接触事故の危険があった。車体が丸い時代から採用されており、近年では563・360・361で見ることができた。また、564は前面に警戒色のステッカーを貼付けることで就業しており、警戒色のバリエーションでもあった。
 しかし、563・564は経年廃車され、代替購入された433・434には採用されず、残る360・361も中間更新によって一般の菊水色となり、警戒色は2001年度で消滅してしまった。

◆ 都市新バス色(かもめライン色)

菊水色のラインを残しつつも斬新なカラーリングの「かもめライン色」 1987年、10系統(当時、磯上公園前〜板宿)で「都市新バスシステム」を導入した。バスロケーションシステムやPTPS(バス感知式優先信号機による公共車両優先システム)の採用という、将来的で画期的な方法でバス路線の運行を開始したのである。
 これに充当される車両は、神戸市バス標準の「菊水色」を踏襲しながら、イメージを損なうことなく新味を出すこととした。菊水色の緑色と白色を反転させ、その緑色もやや明るくし、海岸部を走ることから青色も採用。前面はバンパーまで緑単色にまとめ、方向幕周りを水色とするシンプルなもの。側面・後面は、前面からつながる緑色を中央に、窓枠上部と最下部に青色を配し、緑色と青色の間には白色を引いている。
 なお、都市新バスには愛称「かもめライン」が付けられ、シンボルのヘッドマークが一層その優美さを引き立てていた。
 経年廃車と中間更新によって年々「都市新バス色」をまとう車両が減少、2004年度には、590番台が経年廃車、380番台が中間更新、須磨から落合へ転属した304だけが残ったものの、経年で現役から引退した。但し、304は廃車されず、営業所移管に伴う教習車としてしばらく活躍したものの2005年春には廃車されてしまった。これにより、「都市新バス色」も昔語りとなっている。

◆ 幸せ色(あじさい色)

菊水色からあたたかみを伝える「幸せ色」 1989年4月に「しあわせの村」がオープン、開業から遅れること3年目にして、名谷駅と病院前とを結ぶ120系統用にと、落合営業所に「リフト付バス」3台が投入された。
 登場時は菊水色であったが、1993年9月に「幸せ色(通称「あじさい色」)」を採用した。クリーム色地に菊水流れのピンク系のライン2本を帯び、車体側面と後面には神戸市の花・あじさいと小鳥をペイントしている。前面は「神戸市章のアレンジ」を施さず、なだらかなVラインで菊水色の雰囲気を残している。
 2002年度、001・002が経年廃車されるも、その代替ではバリアフリーバスの主流となったノンステップバスが購入され、2003年度に032が廃車されて全てが消滅した。

◆ 赤バス色

「赤い楽しいバス」を基本概念に生まれた「赤バス色」 1993年、神戸市では「アーバンリゾートフェア・神戸’93」を開催、さまざまな催しが市内全域で行われた。当時の笹山市長の意向で、在来車とは異質な車両の導入で公営交通のイメージアップを図るため、「赤い楽しいバス(通称「赤バス」)」が2台投入されることになった。1993年度購入車両が排ガス記号「U」の中「KC」で、交通局の車両台数にも数えられない、まさに異質な存在となった。車両の保守管理は交通局が行うものの、車両購入の経緯上権限は市長にあり、中型・横向き座席で定員が少ないため投入できる路線に限りがあり、平時は当初18系統や6系統で就業するもいつしか運用から外れ、車庫の片隅で眠り続ける存在となった。
 日の目を見たのは2001年度で、経営健全化計画とコミュニティ路線志向による中型車両需要から、中型ノンステップバスが納車されるまで101系統で就業。その後は車両不足の垂水営業所に貸出され171系統で従事した。再び中央営業所に戻った後は101系統の予備車となり、有野営業所と石屋川営業所に転属されて予備車の日々を送る。329は「KOBEイルミネーションバス」専用車となり、毎年12月には電飾を身にまとい華やかな姿を見せてくれる。328は2005年度の「震災10年神戸からの発信」でラッピングされた上、ピストンバスとして活躍していた。
 鮮やかな赤いボディに「KOBE CITY BUS」の文字や車体前面の交通局章などが白いシールで装飾される。局章は、328より329の方が妙に大きい。
 2005年度後期に廃車され、消滅している。