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神戸市交通局・あの日この日 2008年10月


▲ 新しい敬老優待乗車証(IC乗車証)。


▲ 灘区役所前で新乗車証の説明を受ける高齢者。(車両は石816)


▲ 新制度による利用者負担額と各種対策

新敬老優待乗車証制度を導入

 神戸市では、市民への福祉政策の一環として、75歳以上の高齢者には、神戸市交通局が運行する市バス・地下鉄のほか、神戸市内で運行する民営バス事業者一般路線(一部を除く)と神戸新交通(ポートライナー・六甲ライナー)が、無料で何度でも利用できる「敬老優待乗車証」を、1973(昭和48)年から発行してきた。
 自動車の運転ができない、足腰が不自由であるなど、高齢者は交通弱者であり、また、収入に限度のある年金生活者も多く、移動や家計の面で高齢者の社会参加を支援するこの乗車証制度は、大変有効であると言える。
 しかし、神戸市の敬老優待乗車証制度では、幾つかの問題点を解決する必要があった。
 まず、少子高齢化が進行する我国の現状では、高齢者にかかる社会保障費が増大するため、このまま高齢者だけのために無償の福祉政策を維持していくのは、極めて困難である。現在、社会保障費の約7割が高齢者に給付されており、「働く世代の負担増加」や「世代間の不公平感」が懸念されている。医療・年金・介護は、高齢者が安心して生活する上では非常に重要な制度であるため、なくすことはできない。従って、将来的に持続可能な制度設計の在り方が問われている。
 次に、バス・鉄道を運行する交通事業者に対しての制度参加による補填の崩壊がある。人件費・燃料費・車両などの設備投資にかかる負担が高額である反面、公共交通は低廉な運賃を求められるため、元来利益率が高いとは言えない。しかし、高齢者に乗車サービスを提供しても、制度を運営する主体である自治体(神戸市)からの補填が満足に得られなければ、交通事業者の健全な経営に影響が及ぶ。1993年度の敬老優待乗車証発行枚数は約11万枚で神戸市の補填総額(決算額)が34億円だったのに対し、2005度年では約16万枚(約5万枚増)にも関わらず約35億円(約1億円増)の補填しかできていない。これは、本来支払われる額の4割以下である。
 また、敬老優待乗車証を交付された本人以外の者による不正利用が後を絶たないなど、本来の福祉に反する悪質な利用実態も確認されている。
 このため、神戸市では2006年度、保健福祉局の外部諮問機関として「敬老優待乗車制度検討懇話会」を設置、「平成37年度まで維持・継続可能な制度」の在り方を検討してきた。市民意思調査(アンケート)の実施や、有識者・関係者による討議を踏まえ、2007年10月に報告書をまとめた。これによると、「何らかの利用者負担の導入を図る方向での制度の見直しを考えざるを得ない」としながら、「利用者が乗車時に一定額を自己負担する方式」が望ましいと答申している。なお、ここで挙げられた「平成37(2025年)年」とは、神戸市において高齢者人口のピークになると推測される年である。
 2008年10月、更新時期に合わせて、敬老優待乗車証制度を変更。乗車証利用での一乗車に対し、バス一律100円、鉄道では半額(小児料金と同額、10円未満の端数は10円単位に切上げ)を支払うこととなった。なお、制度移行における暫定措置として、2010年9月末までは、バスは50円、鉄道は半額の半額(小児料金の半額、10円未満の端数は10円単位に切上げ)としている。また、これまでの磁気乗車券から、デザインを一新したIC乗車券に変更。あらかじめIC乗車券に入金(チャージ)して使用する。
 また、低所得者に対しての「敬老無料乗車券」交付や、高頻度利用者に対して定期券の割引購入制度を新設した。
 9月16日から、各区役所及び指定会場で、新乗車証の引換えを開始。新乗車証の利用方法を市バス車両を用いて体験するコーナーを、各区役所で2日ずつ設けた。車内での入金方法や、乗車時・降車時の操作方法について、係員から説明があった。また、各区役所や神戸市営地下鉄各駅には、入金操作を説明する係員を配した。

● 関連ページ
あの日この日
  「市バス車両でIC対応準備
  「市バスでIC乗車券供用開始

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